2026年5月のコナ不動産市場は、「下落」ではなく、「調整」という言葉がしっくりくる状況になっています。

全米レベルでは、この春、やや停滞していた住宅市場に小さな反発が見られました。コンパスのチーフアナリストによると、成約物件数は前年を上回り始め、在庫増加ペースも減速しています。

しかし、この回復は決して盤石ではありません。

インフレ圧力により、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げを見送りました。さらにイラン情勢を含む地政学リスクが、原油価格・住宅ローン金利・消費者心理に影響を与えています。2026年中の利下げは行われない可能性を指摘する専門家も増えてきました。

買い手は動いていますが、慎重。

そして売り手側は、これまで以上に「緻密な価格設定」と「戦略」が求められるようになっています。

コナ戸建て住宅市場:下落ではなく「安定化」

現在、コナの戸建て住宅の中間価格は約130万ドル。

前年同期比では3.7%下落していますが、2025年後半の水準を上回るレベルを維持しています。急激に上昇していた価格が、フラットになっている印象です。

一方で、平方フィート単価は前年比7.2%下落し、約701ドルとなりました。

在庫は、前月比で12%減少。依然として昨年よりは若干多いものの、供給はやや引き締まり始めています。

現在の月換算在庫は5.6ヶ月。6か月以下はニュートラルをされています。

極端な売り手市場でも買い手市場でもなく、「ニュートラル〜やや買い手寄り」の状態です。

需要は回復傾向。特にラグジュアリー市場に動き

今月、成約物件数は前月比24%増加。最近の世界のゴタゴタで様子見をしていた買い手が戻ってきている印象です。

さらに興味深いのはラグジュアリー市場。

250万ドル以上の成約物件が7件に増えました。前年同時期は、トランプ政権の関税発表後だったこともあり、わずか2件でした。

世界情勢への不安がある中でも、「良い物件」であれば富裕層バイヤーは依然として動いており、現在の“K字型経済”を象徴しています。

インフレによって一般層の住宅取得能力が低下する一方、資産を持つ層にとっては、ハワイ不動産のような「実体資産」への魅力がむしろ高まっているわけです。

「何でも売れる市場」ではない?

ここが現在のコナ市場で最も重要なポイントです。2021年から2024年まではなんでも売れました。

最近30日間を見ると:

  • 売り物件の15%が市場から撤退
  • 25%が値下げ

つまり、「価格設定を間違えると非常に厳しい」ということ。

コナの戸建て住宅の成約までの中間日数は36日であり、まだ健全に見えますが実態はかなり二極化しています。

適正価格の物件は売れますが、強気すぎる価格設定の物件は、市場に残る可能性が高いのです。値下げをすれば大丈夫という反論もありますが、市場にでて45日を過ぎると、売主側の交渉力は落ちます。

今のコナ市場では、「価格」は単なる数字ではなく、「戦略」になっています。

コンドミニアム市場:調整局面は続く。改善の兆しも

コナのコンドミニアム市場は、戸建てよりも調整色が強く出ています。

中間価格は60万ドル前半。前年比約8.5%下落しています。

平方フィート単価も約5%低下。

ただし、良いニュースもあります。

売り物件数は2ヶ月連続で減少し、前年比でも減少傾向に入りました。

現在の月換算在庫は約6.1ヶ月。

依然としてやや買い手市場寄りですが、昨年同時期より健全なバランスにあります。

コンド市場で買い手が重視するもの

コンド市場では依然として慎重な姿勢が続いています。

  • 成約物件数は前年比18%減
  • 毎月10%以上が市場撤退
  • 約25%が価格改定

特にバケーションレンタル系や投資用ユニットでは、

「購入価格」だけではなく、

  • 共益費の動向
  • 保険料
  • 建物財務状況
  • 月間所有コスト

まで、かなり細かく分析すべき状況です。

リゾート市場:在庫調整が進行中

コハラコーストのリゾートコンド市場では、在庫が108件から96件へ減少。

2020年以来の高水準まで増えていた供給が、ようやく吸収され始めています。

ただし、リゾート市場も「一括り」にはできません。

  • マウナラニ:ほぼ横ばい
  • ワイコロアビーチリゾート:やや弱含み
  • マウナケア:取引数が少なく判断困難

という状況。夏まではハワイの不動産市場は動きます。これからの動きに注視したいと思います。

コハラコースト リゾート コンド売り物件推移

そして別格なのが、

  • クキオ
  • フォーシーズンズ フアラライ

といった超高級プライベートクラブ市場です。

供給不足と会員権の希少性に支えられ、依然として強い価格維持力があり、クキオはいまだ天井知らずの状況が続いています。

全米市場との比較:

全米でも在庫増加ペースは鈍化し、成約数は改善傾向。

しかし2024〜2025年に積み上がった在庫の影響で、価格には依然として下押し圧力があります。

ハワイ島では

  • コナ戸建て在庫減少
  • リゾート在庫減少
  • 選別的な需要回復

が見え始めています。

最後に

FRBは急いで利下げを実施する状況ではなく、インフレも簡単には収まりそうにありません。

中東情勢も引き続き不透明です。

それでも、ハワイ島の魅力そのものは揺らいでいません。

  • コナ戸建て市場は安定化
  • コンド市場は調整しながら改善
  • リゾート市場は在庫吸収段階
  • 超高級市場は依然として別世界

売り手にとっては、「とりあえず高く出してみる」が通用しにくい市場になっているのは間違いありません。

買い手にとっては、慎重に分析しながらも、「良い物件」が出た時には素早く動く必要があります。