あろは!

4月の不動産統計
さて、コナの不動産市場動向です。4月2日のブログで3月の市場動向をまとめました。その際は緊急事態宣言が出てから日が浅く、影響はほぼないに等しい状況でした。
3月25日以降日本からの直行便が運休となり、その後、外出制限に加え、州外からと州内の移動が厳しく制限されています。海外や米国本土からハワイに足を運ぶことが非常に困難な状況になっていますので、4月は成約件数が減少することが予想されていました。

下は4月のコナの戸建て市場動向をまとめたものです。
売り物件数と成約物件数を価格別にまとめ、前月(3月)と比較しました。
()内が先月の数字です。
成約物件数は先月よりも17.1%と大きく下がりました。3月に大きく増加した売り物件数約10%減りました。緊急事態宣言を受けて、市場から取り下げたオーナーがいたものと推測できます。
ちなみに5月1日現在のコナの戸建ての中値は$76万ドルで、先月から変わらず。ちなみにこの数字は過去最高です。2006年のピーク時の中値は65万5千ドルでした。

一年前の2019年4月と2020年4月を比較します。

 

2019年

2020年 変化
中値 $642,853 $760,000

+18.2% 

売り物件数 246 173 -28.7%
成約物件数 104 68 -34.7%
取引件数 174 169 -2.87%

ここで気になるのは、成約物件の減少ですが、売り物件数がかなり減っており、在庫がタイトなので、現時点で優良物件はまだ売れるはずですし、実際に動きはあります。
4月にクローズした取引の平均割引率は3.3%でした。また市場にでてから売れるまでの平均日数は67日となってます。

下はコナの中値の推移を1994年から2020年まで追ったものです。今年なってからの値上がりが顕著なのが見てとれます。


今後の市場動向について
現時点では、目立った値下げの動きもなく、市場は淡々と動いています。ただし、今後もこのまま世界的に人の移動が制限され、ハワイの鎖国状態が続けば、不動産市場が混乱する可能性は否めません。
4つの側面から圧力はかかってくると思います。

1)失業率
米国ではいま恐ろしい勢いで失業率が増えています。過去5週間で2,650万人が失業保険の申請を行いました。2008年のリーマン後は1500万人が失業しましたが、それをはるかにしのぐ勢いです。
観光業に依存しているハワイ州の失業率は、5月1日現在で35%という、すごい数字になっています。およそ 23万人がこれまで失業保険申請をしたとのこと。それまではおよそ2.5%でした。1か月でこれほど変わるとは!!

ただし重要なのは、米国は日本とは異なり、一時解雇(レイオフ)が非常に簡単にできるということです。一時的に解雇をして、失業保険を貰ってもらい、状況が少し良くなれば雇い戻すというのが、米国のスタイルで、会社経営の観点からは経営立て直しをやりやすい方法ではあるのかもしれません。一時解雇(レイオフ)が本当に一時的なもので済めば、米国の景気は早く回復するという見方もあります。

仕事なくしては、不動産はおろか、消費そのものが立ち行かなくなりますから、ここはポイントでしょう。
米国では一世帯あたり1200ドルの特別給付金が支給されています(所得$75,000以下に限る)。またこの期間、失業手当には特別に週600ドルがプラスされます。

2)バケーションレンタル収入の減少
ハワイ州は、4月13日以降新たなバケーションレンタル予約(いわゆる民泊)を禁じました。これにより、ほとんどのバケーションレンタル物件は、夏までの予約がほぼキャンセルになっています。物件を維持するためにバケーションレンタルの収入が必要なオーナーにとっては打撃となっています。現時点では投げ売りなどはありません。

3)長期レンタルの賃料未納
現在ハワイでは5月30日まで、賃料の不払いを認め、また強制立ち退きを禁止しており、長期の賃貸物件の所有者には厳しい状況になりかねません。ただし、私のクライアントの長期レンタル物件で、2件新たなテナントが入居が決まりましたし、現時点では大きな混乱はありません。

4)ローンの支払い猶予(フォーベアランス)
米国では現在、必要に応じて不動産ローンの支払いを1年間猶予する措置が取られており、すでに多くの所有者がこの制度を利用しています。投資銀行協会によれば、支払い猶予申請の件数は3月2日~16日は全米で1,270%増。3月16日~30日はなんと1,896%増ということです。これは支払い免除ではないので、ある時点で返済することになりますが、返済方法については、各銀行の方針によります。
なお、銀行による物件差し押さえには時間がかかるので、急にフォークロージャー物件(抵当流れ、差し押さえ物件)が増えることはないでしょう。
差し押さえ物件が出る前にまず、ショートセール(担保割れ物件)物件が市場に出回りますが、現時点ではまだこの傾向はありません。

不動産金利は非常に低い状態が続いていますが(30年住宅金利が4月終わりで3.33%程度)、下のグラフの通り、カリフォルニア(CA)、NY、WA(ワシントン州)で住宅ローン申請件数が減少傾向です。

米国の住宅の供給不足は以前解消されていないものの、住宅ローンの審査基準がかなり厳しくなっていることと、一時解雇が進んでいることから、金利が低くても購入に踏み切れないバイヤーが増えることが予想されます。
ローン基準にはすでに以下のような審査基準変更が発表されました。

  • 政府系のローンは収入・資産証明は過去120日ではなく、60日に短縮
  • 自営業者はローン決済日の10日前にビジネスの実在確認が必要
  • モルガン・チェース銀行は、最低信用スコアを700点に上げたうえ、最低頭金額を20%に。

今後銀行による貸し渋りが進むかどうか、気になるところです。

カリフォルニアの不動産市場

最近はロサンゼルス、サンフランシスコで一緒に仕事をしている仲間と情報交換をしていますが、カリフォルニアも少しづつ動き始めています。
ロサンゼルスは手袋、マスクを着用し、人数を制限しての内覧が可能になりました。
サンフランシスコは厳しい外出制限が以前続いていますが、居住者がいない不動産は内覧が可能になっています。
3月8日以降、前週との取引件数の比較をグラフにしたものです。

下のグラフは3月1日以降の週ごとの成約物件数をグラフにしたものです。

成約物件数は先週は若干上がりました。米国は秋からの新年度に向け、不動産が今が一番動く時期です。
今後成約物件数が伸びるのか注目したいところです。

オアフ島は日本人の影響力はそれなりにありますが、ハワイのメインはカリフォルニアと米国バイヤーなので、ここの動向はつかんでおく必要があります。

その点弊社の親会社はサンフランシスコにあるので、このあたりの情報が容易に入ってくるのは有難いです。

市場動向についてはまた随時報告いたします。