スーパー・エルニーニョ が、単なる気象ニュースでは済まなくなってきました。

ハワイ島に住んでいると、太平洋の変化が日々の生活に影響してきます。

ハワイに住んで25年になりますが、今年ほど暑さと湿気がある夏は記憶にありません。そしてハリケーン。4週間で4つのハリケーンが通過するとは、驚きです。4000mの山に囲まれているコナは問題なしですが、ハワイ島の南部やカウアイ島には被害が出ました。

ハワイは本来、年間を通じて本当に過ごしやすいはずなのです。フアラライ山の裾野に町があるため、ほとんどの家には冷房がありません。

今年は例年になく空気が重く、いつもより暑く、まさに「熱帯」を感じる日が続いています。自宅にエアコンを設置しようなどと今まで考えたこともありませんでしたが……今年は少し迷っています。

それでも、今年だけの異常な年であってほしいと思っています。

現在、海水温度があがる、強いエルニーニョがすでに発生しており、2026~27年の冬に向けて、さらに勢力を増すと予想されています。一部メディアでは、すでに「スーパー・エルニーニョ」という言葉も使われ始めました。

 

まず、ポイントを整理

  • エルニーニョとは、太平洋の海水温と大気循環が大規模に変化する現象。「スーパー・エルニーニョ」は分かりやすい呼び方ですが、正式な科学用語ではありません。
  • 現在のエルニーニョは2026年後半にかけて大幅に強まり、2027年まで世界各地の天候に影響する可能性があります。
  • ハワイでは、非常に活発なハリケーンシーズンから一転して、冬は平年より乾燥する可能性があります。ただし、季節予報はあくまでも「確率」であり、確定ではありません。
  • ハワイ島は場所と標高によって気候が大きく異なります。コナ、コハラコースト、ヒロ、そして標高の高い地域では、同じ日にまったく違う天候になることも珍しくありません。
  • カリフォルニアを含む米国本土や日本でも、典型的なエルニーニョの影響が見られる可能性がありますが、個々の嵐や寒波、地域差は当然あります。

太平洋で非常に強いエルニーニョが発達中

まず、エルニーニョは「嵐」ではありません。

熱帯太平洋全体で海水温と大気循環が大きく変化する現象です。

通常は東から西へ吹く貿易風によって、暖かい海水がアジアやオーストラリア方面へ押し流されています。ところがエルニーニョが発生すると、赤道付近の貿易風が弱まり、暖かい海水が太平洋の東側へ広がります。

それに伴い、熱帯地域の雨の降り方も変化します。

ハワイから何千キロも離れた場所で始まる変化ですが、最終的には世界各地の天候パターンを変えてしまうほどの影響があるのですね。

世界気象機関(WMO)は9月3日、エルニーニョがすでに明確に発生しており、今後さらに強まり、非常に強いレベルに達する可能性があると発表しました。2027年2月まで継続する確率は、ほぼ100%と予測しています。

NOAA(米国海洋大気庁)も、2026~27年の秋から冬にかけて「非常に強いエルニーニョ」になる確率を90%以上と予測。

さらに10月から12月にかけては、1950年以降の観測記録における過去のエルニーニョを上回るレベルに達する可能性を69%としています。

かなりの数字です。

「スーパー・エルニーニョ」は正式な科学用語ではない

ここはひとつ、整理しておきたいところです。

「スーパー・エルニーニョ」という正式な科学的分類はありません。

専門家は基本的に、観測された数値によってエルニーニョの強さを表します。

つまり「スーパー・エルニーニョ」は、極めて強いエルニーニョを分かりやすく表現する言葉。そして今年は、1950年の観測史上一番だそうです。

言葉のインパクトが強いだけに、季節予報まで確実なもののように聞こえてしまいますが、そこは分けて考える必要があります。

今年のハワイの暑さと湿気には、いくつかの要因がある

ハワイにとって、貿易風は天然のエアコン。いつものように風が吹けば、気温が高くてもかなり快適に感じます。

コナはフアラライ山によって基本貿易風が吹きませんから、やはり海水温の上昇などで湿度が上がっているのだろうと推測します。

今年の夏はハワイでは風が非常に弱く、蒸し暑い時期が続いています。NOAAの9月予報でも、ハワイ諸島は平年を上回る気温になる可能性が高いとされています。

特に8月、9月の湿度の高さには、ハリケーン活動も大きく関係しています。Lala、Moke、Lowellと、わずか4週間ほどの間に次々とやってきました。南から湿気が入って蒸し暑くなるわけです。

LOWELL

異例の活発さを見せる2026年の中部太平洋ハリケーンシーズン

今年のハリケーンシーズンには正直驚いています。ここ数年毎年「ハリケーンは例年よりも多め」となるという予報がでているのですが、山に守られているハワイ島コナでは誰も気にしません。

9月上旬までに中部太平洋では、すでに名前の付いた熱帯低気圧が5つ、ハリケーンが4つ、そのうち大型ハリケーンが2つ発生しています。

熱帯低気圧の総エネルギーも、この時期の平均を300%以上上回る水準でした。

NOAAは今年早い段階から、中部太平洋のハリケーン活動が平年を上回る確率を70%と予想し、5~13個の熱帯低気圧が発生する可能性を示していました。

ハワイ島の山々は助けになるのか?

嵐がどの方向から接近するかによりますが、コナはマウナロアとマウナケアという巨大な山々の恩恵を受けることがあります。

研究でも、標高4000メートルを超えるハワイ島の山々が気流を大きく乱し、熱帯低気圧の進路や構造そのものを変える可能性があることが分かっています。

一方、東または南東から嵐が接近した場合には、島の南部や東部が大きな影響を受けることになります。東側のヒロの方々には申し訳ありませんが、これは常識の範囲内です。

2014年のハリケーン・イゼルも、ハワイ島の地形の影響で弱まりましたが、それでも島の東側には大きな被害をもたらしました。

山が単純に「壁」のようにハリケーンをブロックしてくれるわけではありませんが、これまでハリケーンの動きを注目している限り、間違いなく山にぶつかると嵐は弱まります。

今回のハリケーンLALAは、ハリケーンの中心が山にぶつかることなく、ハワイ島南部の下を通過し、島の南東部では非常に激しい雨と危険な洪水が発生しました。友人宅では、電気、携帯電話、水道がしばらく不通でした。大変なことです。ナアレフの有名なパンも被害を受けてしまいました。再開できますように。

そして次にやってきたのが、ハリケーンLowell。

9月7日から8日にかけて、こちらもハワイ島の下を通過し、ニイハウ島とカウアイ島の西側を通過しました。ハワイ島波が高いくらいで、問題ありませんでした。

カウアイ島では強風、大雨、高波に見舞われ、国立気象局の暫定観測ではリフエ空港で時速84マイルの突風を記録。一時はカウアイ島の電力利用者のおよそ90%が停電を経験しました。

ハリケーンは直接上陸しなくても、ハワイに大きな被害を与える可能性があるということです。今回LOWELLはハワイ沖では、カテゴリー1と弱まっていました。これがカテゴリー4などであれば、もっと被害が大きくなったでしょう。

そしてハリケーンシーズンは、まだ終わっていません。

中部太平洋の公式ハリケーンシーズンは11月30日まで続きます。活動のピークは通常7月、8月、9月ですが、それ以降に熱帯低気圧が発生することもあります。

冬の話を始める時期ではありますが、ハワイでは、ハリケーンへの備えはまだ忘れない方がよさそうです。

スーパー・エルニーニョ 2026-27:ハワイの冬は乾燥する?

ここからが、ちょっと意外な話です。

NOAA

暑く、湿度が高く、ハリケーンも非常に活発だった夏から一転して、ハワイの冬はかなり乾燥する可能性があります。

ハワイの冬は、通常、多くの地域で雨の多い季節です。ただし、ハワイ島の西部は冬は乾季です。

ところが歴史的に見ると、強いエルニーニョが発生した年のハワイでは、晩秋から冬にかけて雨量が減る傾向があります。

NOAAの季節予報でも、10月から12月頃にかけてハワイ諸島の降水量が平年を下回る可能性が高まり、その傾向が2027年春まで続くと予想されています。

全米でも特に雨の多い都市のひとつ、ヒロでは、12月~2月の降水量が平年を下回る確率を現在65%としています。

もちろん、「雨が降らない」という意味ではありません。 深刻な干ばつになると決まったわけでもありません。ただし、雨が降らない場合には、山火事のリスクが上がることは知っておく必要があります。

カリフォルニアと米国本土では、まったく違う冬になる可能性

強いエルニーニョが発生すると、太平洋のジェット気流の位置が変化し、いわゆる典型的な「エルニーニョの冬」のパターンになる可能性が高まります。

NOAAの現在の予報では、米国北部の広い範囲で平年より暖かい傾向が予想されています。一方で、冬が進むにつれて降水パターンにもエルニーニョの影響が強く現れてくる可能性があります。

カリフォルニアで雨や山間部の雪が増えれば、水資源にはプラス。

しかし強い嵐が短期間に続けば、同じ雨が洪水、地滑り、浸食、交通障害を引き起こす可能性もあります。

エルニーニョだからといって、カリフォルニアが必ず雨の多い冬になるわけではありません。

日本は暖冬傾向? それでも冬は冬

太平洋の反対側にある日本も、エルニーニョの影響を受けることになるでしょう。

9月9日、気象庁は2026年春からエルニーニョ現象が続いていることを確認し、この冬まで継続する確率を100%としています。

過去の傾向を見ると、エルニーニョの冬は日本の一部地域で比較的暖かくなる傾向があります。

冬全体では暖かい傾向でも、強い寒波や大雪が発生することはあります。

秋が深まるにつれ、気象庁から地域別のより詳しい予報も出てくるでしょう。

引き続き、ハワイの気候で変化を感じたらまたご報告します。

早く涼しくなりますように!