あろは。

早いもので、2025年第1四半期が終わりました。

コナ不動産市場のデータを斜め読みすると、とくにコンドミニアム市場は一見大きく伸びているように見えます。成約件数も中間価格も前年比で伸びており、「市場が再び活発化しているのでは?」と思われがちです。

しかし、上辺の数字だけでは本当の姿は見えてきません。データ全体と現在状況を理解することが重要です。

2025年第1四半期まとめ(2024年第1四半期との比較)
現在のコナ不動産市場

二極化する市場:コンド vs 一戸建て

コンドミニアム市場は、売上・価格ともに大聞く伸びたように見えますが、その数字だけでは全体像は見えません。

中間価格とは、平均ではなく、あくまでも一番取引が多かった価格帯を示すものです。コンドミニアムの場合、住宅ローン金利上昇と保険問題による共益費の急騰で、低い価格帯のコンドミニアムの動きが鈍っています。売り物件数は前年比113%増、成約物件は37.5%減。多くのコンドミニアムの買い手が慎重な姿勢を崩していないことを示しています。

一方、一戸建て市場は比較的安定しています。販売スピードは速く、中間価格も安定。新規リスティングは増加傾向ですが、根強い需要が市場を支えています。

「値下げ」が語る市場の緊張感

市場の本質を映す貴重な指標の一つとして、売物件の値下げ率(成約前にどれだけの物件が値下げを行ったか)があります。これは、価格設定と需要(市場)とのズレを示すものといえます。

現在の売り物件のうち値下げを経おこなったのは49.1%。平均値下げ率は7.6%、中央値では6.5%。当然ながら、売りに出てから日数が経つにつれ、値下げする傾向が強く見られます。

また、価格の低い物件ほど値下げをする物件が多くなっています:

  • $400K未満の売り物件の値下げ率:57%が値下げ

  • $400K~$599K:54%が値下げ

  • $1M以上:31%が値下げ

このことからも、価格に敏感な買い手をターゲットとする売主には、戦略的な価格設定がますます重要になっていると言えるでしょう。

また値下げする物件の割合によって市場の温度を感じることが可能です。下は、取引済み物件で、成約前に値下げがおこなわれた割合です。2022年6月の政府の利上げ以降値下げが多くみられるようになりました。

コンドミニアム:成約前に値下げされた割合

  • 2022年前半:12.8%

  • 2022年後半:23.8%

  • 2023年:28.2%

  • 2024年:40.1%

  • 2025年(現時点):52.9%

一戸建て

  • 2022年前半:21.6%

  • 2022年後半:34.0%

  • 2023年:31.7%

  • 2024年:34.1%

  • 2025年(現時点):28.0%

このデータから見ても、コンド市場は軟化傾向、一戸建て市場は安定傾向がみてとれます。一戸建ては今年に入って値下げ率が減少しています。

実際、活発な市場でも2割程度の値下げは自然な現象です。常に「オーバープライス」売り物件は常に存在するのです。

重要なのは、「市場が本当に追いついてくるのかどうか?」ということです。

第2四半期を見据えた市場動向

ハワイの季節的な動きでいけば、いわゆる「スノーバード」(冬の間ハワイに滞在する本土からの別荘組)たちが旅行者の多い時期を狙って、1月・2月に売り出しを始め、供給が春にピークに達します。

  • コンドミニアムの在庫は、例年3月〜4月にピークを迎え、7月頃にかけて減少傾向。

  • 一戸建てはより長いサイクルで動き、冬にピークを迎え、10月頃までに徐々に在庫が減っていきます。

今年もこのパターンでいけば、夏に向けて在庫が減少し、競争が激しくなる可能性があります。ただし、関税や経済の不安定さによって、これまでのパターンが崩れる可能性もあり、注視が必要です。

売り出しのアドバイス:

価格設定がすべてです。供給が増えている一方で買い手の姿勢は慎重。「適正価格」で市場に出すことが、成功の鍵です。とくにコンド市場は一戸建てより厳しい状況です。

買主へのアドバイス:

選択肢が豊富なことはプラスです。コンドと一戸建てでは市場状況が大きく異なるため、価格だけでなく、エリアや市場全体の理解も重要です。