今シーズン初のクジラをコナ沖で見かけました。毎年のことですが、最初のクジラを見るとテンションが上がります。ザトウクジラたちは毎年、アラスカから数千キロを旅してハワイ島までやってきます。その逞しさには驚くばかりです。
さらに、クジラを見ると、24年前ハワイ島に移住したばかりで、ホエールウォッチングのガイドをしていた頃をまざまざと思いだすのです。大きな海の中の自然の雄大さとクジラの儚さを肌で感じた毎日でした。そして、2007年のスーパーフェリー論争も記憶に残っています。進歩と自然保護が衝突し、最終的には海洋生物への懸念からスーパーフェリープロジェクトは中止に追い込まれました。
今、新たな「ハワイ・シーグライダー・イニシアチブ」が浮上しています。REGENT Craft Inc.との協力により、環境に優しい電動シーグライダーを用いて島間移動の解決策を模索しています。この12人乗りの革新的なグライダーは時速180マイル(およそ300キロ)で海面上を滑るように進み、クジラと衝突するリスクは低いとされています。
飛行機でしか移動できないハワイにとって、シーグライダーの導入は、生活を一変させる可能性を秘めています。空港ではなく港を拠点にすることによって、フェリーを利用するような手軽さになるかもしれません。待ち時間の短縮や環境への負担は最小限に抑えられるはず。教育、医療、文化イベントへアクセス利便性を向上させることからも、ハワイアン航空やハワイ先住民事務局(Office of Hawaiian Affairs)、地元コミュニティも賛同してます。
勿論、直ちに実現する訳ではなく、課題もあります。環境アセスメント、インフラ整備など、多くのハードルを越えていく必要がありますが、「進歩」と「持続可能性」の融合の観点からも、このプロジェクトは魅力的ですよね。
クジラたちの長い旅路は、過去と未来、そして「ここ」と「そこ」、「革新」と「伝統」の繋がりについて考える良いきっかけを与えてくれます。ハワイのエコシステムを守りながら、技術革新を追求できるのか?伝統とテクノロジーは本当に共存できるのでしょうか?
過去を大切にし、未来を受け入れ、自然の美しさを守りながらも、可能性や夢を繋ぐことができるハワイを目指していきたいものですね。