いよいよ夏の準ピークシーズンを迎えます。

6月1日時点のデータでは、一戸建てとコンドミニアム、両セクターでも在庫が増加し、需要がやや軟化している状況です。以下、詳細です。

一戸建て市場は安定も、高額物件は停滞

一戸建ての中間価格は前年と同水準ですが、前月比で6.5%の大幅な下落となりました。在庫数は5月から大きく変わっていないものの、売り物件数は前年比36%増加。一方、成約物件の数は前年比35%減と、需要の低下が見られます。

市場は4.5ヶ月分の在庫でニュートラルな状態を維持していますが、成約に至るまでの日数は23日に増加し、市場の動きが鈍化していることがうかがえます。特に注目すべきは高級セグメントで、$2.5M以上の成約物件はコナ全体でわずか1件。ちなみにこれは私の担当物件ですが、2020年以来もっとも低調な動きであり、今後の市場動向を占う重要な指標です。ここは注視していく必要があります。

コンドミニアム市場では買い手が主導権を回復

コンドミニアムの中間価格は前年比で2.3%高を維持しているものの、前月比では$665,000へと下落。在庫数はパンデミック前の水準に近づく勢いで、売り物件数は前年比で約80%増。成約物件数は前年比ではわずかに増加しましたが、5月よりは減少しています。

在庫が7.0ヶ月分に達し、市場はニュートラルから買い手市場へとシフト。成約までの日数は前年比155%増の51日と大幅に伸びています。単価も前年比で8.2%減少し、買い手側にとっては交渉の余地が広がっています。

市場見通し:夏の動きに期待

例年、6月から8月はハワイ不動産の取引が活発になるシーズンです。現在の、在庫増、価格の横ばいもしくは下落、金利の安定は、バイヤーにとって好機となる可能性があります。

6月1日時点の30年固定住宅ローン金利は6.96%で、5月の7.02%からわずかに低下。バイヤーは「価格交渉」よりも「金利買い下げ(Buy Down)」を求めること、長期的なコスト削減につながる可能性があります

売主にとっては、特に高級物件やコンドミニアム市場では、価格戦略の見直しが必要になるかもしれません。買い手側は、ここ数年で最も有利な立場にあります。

今後の展望

2025年6月は、カイルア・コナ不動産市場における転換期を示唆している可能性があります。供給の増加と需要の落ち着きにより、ここ数年で最もバランスの取れた市場に近づいています。一方で、高額帯の鈍化と販売期間の伸びが、この夏、注視すべき要素となるでしょう。