コナのアリイドライブは、ただの海沿いの道路ではありません。地域の人々が集う、コミュニティの「アイデンティティ」のような場所世代を超えてローカル(カマアイナ)も観光客も想い出を作ってきた特別な空間です。25年前にハワイ島に来た時はアリイドライブはもっと栄えていた印象です。


変わりつつあるアリイドライブの空気感

特にCOVID以降、雰囲気が明らかに変わってきています。多くのローカルビジネスが苦境に立たされ、閉店した店も多くあり、以前のような活気が感じられなくなってきました。

その背景の一つには、コナ中心部の公共駐車場がほぼすべて有料化され、QRコード決済制に移行したという変化があります。

場所によっては、ローカルも駐車料金を払わなければならなくなり、観光客(特に海外からの方々)は慣れないQRコード決済に戸惑う姿が多く見られます。

結果として人通りが減り、通りの賑わいが薄れてしまっています。

20年前にこの町に移住してきた時のオーラとは、明らかに違います。コナ・インを所有しているアンクルビリーが亡くなり、町の中核となる場所が宙に浮いてしまっていることも要因かもしれません。個人オーナーへの強制力はないにせよ、コミュニティとしてのビジョンを形成していく試みは重要でしょう。

ハワイ郡の提案:アリイドライブの文化を守るために

新郡長はこの度、2024年5月1日から、アリイドライブの一部を一方通行にする90日間のパイロットプログラムを開始することを発表しました。

この取り組みの目的は、無料の公共駐車スペースを増やすことです。そして、アリイ・ドライブに活気を取り戻すこと。

改めて、「観光」「インフラ整備」「地域の暮らし」をどうバランスさせるべきかを考える必要があるのでしょう。

アリイドライブは、単なる「道」ではありません。コミュニティのアイデンティティとも呼べる場所です。

私にとっても、クリスマスパレードや7月4日の花火、ビーチバレーなど、子どもたちと過ごしてきた多くの思い出がここにあります。

エミールと息子が、ビーチバレーボールをしている光景も、うちの娘がパレードで太鼓をたたくのも、まさにコミュニティの象徴です。

どんな未来を描くべきか?

アリイドライブを“蘇らせる”ためには、単なる一方通行だけではなく、もっと広い視点が必要です。

  • 地元住民も観光客も利用しやすい、直感的で公平な駐車システム

  • アート・音楽・フードのオープンエアイベントを通じた文化交流の促進

  • 徒歩でふらっと立ち寄りたくなる、清潔で安全な歩道環境

  • 地元の中小ビジネスが持続可能でいられるようなサポート策

今回の一方通行はあくまで「トライアル」。無料駐車場の増加は歓迎すべきことですが、それだけに留まらず、私たちの愛するアリイドライブに「魂」を取り戻すことが本当の目的なのだと思います。

駐車問題を解決しながら、私たちが大切にしてきたこの通りの魅力を、もう一度取り戻していく必要があります。

参考記事:BIG ISLAND NOW