ハワイ島やオアフ島など、ハワイで不動産を購入・売却する際によく登場する用語が「エスクロー」です。日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、ハワイやカリフォルニアなどでは不動産取引に欠かせないシステムとなっています。ここでは、エスクローの基本的な仕組みや役割を解説します。

エスクローとは?

  • 州の認可を受けた第3者機関
    エスクローは、不動産取引に関わるすべての条件がしっかりと満たされているかを、中立的な立場で監視・管理する役割を担う機関です。ニューヨーク州など、一部の州ではエスクロー制度を利用しないケースもありますが、ハワイでは一般的に不動産取引に欠かせません。

  • 所有権の調査・登記を行う
    単なる監視だけでなく、所有権の正当性を確認し、最終的な登記までおこないます。エスクロー会社の多くは保険会社を親会社に持っており、所有権の市場性を保証する「権原保険(タイトル保険)」を発行するのも特徴です。

  • 誰がエスクロー会社を指定する?
    物件を売りに出す際には所有権調査が必要なため、売り手側の不動産会社が依頼したエスクロー会社がすでに存在していることが一般的です。ただし、オファー(売買)で買主側がエスクロー会社を指定することも可能であるため、誰がエスクロー会社を指定するのかはケースバイケースといえます。私であれば、タイトルギャランティ社かファーストアメリカン社を使うことが多いです。ハワイ島のエスクロー会社は限られていますので、どのエスクロー会社でも問題はありません。

エスクローが果たす役割

  1. 資金の管理

    • 手付金、購入代金、ローンなどはすべてエスクローの信託口座へ入金。
    • 登記が完了するまで資金はロックされ、ハワイにおいて、不動産業者が直接お金を扱うことはありません。
    • 登記完了後に売主へ資金が振り込まれるため、代金の不払いリスクを回避できます。
  2. 安全性の確保

    • 所有権をめぐるトラブルを防ぎ、取引条件が満たされない限りは実行されません。
    • 不動産エージェントが実際のやり取りを進める一方、エスクローは“監視役”として、条件の確認を徹底します。
  3. 中立的な立場

    • 売主・買主双方の合意がなければ、エスクローはお金を動かすことも登記を進めることもできません。
    • 当事者双方の合意が必須であるため、取引の透明性が高まります。

ハワイ州不動産協会のルール

ハワイ州不動産協会に所属する不動産会社は、必ずエスクロー会社を利用しなければなりません。もし「エスクローを使わない」と提案されたら要注意。これが安全な取引の大前提です。

ハワイの主なエスクロー会社

  • タイトルギャランティ・エスクロー
  • ファースト・アメリカン・タイトル
  • オールド・リパブリック・タイトル
  • フィデリティ・ナショナル・タイトル

いずれも大手タイトル会社が運営しており、信頼性の高いエスクローサービスを提供しています。

まとめ

エスクローはハワイの不動産取引において、買主・売主の両者を保護し、安全かつスムーズに進めるための非常に大切なシステムです。日本ではあまり聞きなれない言葉ですが、ハワイで物件を購入・売却する際には必須のプロセスと言えるでしょう。

ハワイで理想の物件を安心して取引するためにも、ぜひエスクロー会社の存在と役割をしっかり理解しておきましょう。