2020年も後半戦。
ハワイ島の不動産市場のおさらいです。
緊急事態宣言を受けて、ハワイ島の不動産市場は大混乱に陥りましたが、8月に入り、成約数は昨年の水準を凌ぐ勢いになっています。
これから高まりそうなハワイ人気。最新市場動向を随時チェックしておくことが重要です。
 
I. 不動産価格:下がらず!
まずは価格ですが、2019年末のコナの戸建ての中値は65万ドルでした。
2020年今日現在は:
コナの戸建て中値:$749,000(前年比+17.3%)
コナのコンドミニアム中値:$345,000(前年比+19.44%)
この急激な中値の上昇の理由の一つに、供給不足があります。要するに売り物件が足りないということです。
コナの戸建ての売り物件数の推移を見てみます。
2019年1月1日:242戸 2020年1月1日:168戸 2020年8月1日:122戸
この約1年半で戸建ての売り物件はほぼ半分になりました。
ちなみにコンドミニアムは2019年からすでに売り物件数が少なく、現在の160戸の売り物件数は、昨年同時期よりも+16%です。
 
II.「需要と供給」
一方戸建ての成約物件数はどうでしょうか。
2019年1月1日:77戸 2020年1月1日:87戸 2020年8月1日:117戸
2020年8月現在、売り物件数と成約物件の比率がほぼ1対1に切迫しています。
コロナ騒ぎが始まる以前よりも、今の方が成約数は多く、さらに売り物件数が少ないという状況です。
価格帯別にみてみます。
まずは、戸建て。60万ドルから90万ドルの価格帯の成約数の伸びが著しいです。70万ドル以下の売り物件は殆どなくなってきました。
 
一方コンドミニアム。
7月以降売れ行きが戻りました。成約数的には昨年同時期と同じ水準です。
 
もう少し大きな区切りで見ると、100万ドル以下の市場は、「成約物件」が「売り物件」を2:1で上回っています
100万ドル以上になると「売り物件」が「成約物件」を3:1で上回ります
価格帯によって市場の動向は大きく異なることが分かります。3対1でも悪い比率ではありません。
 
75万ドル(中値)がコナのベストセラーであり、これ以下の価格帯の物件の動きは非常に速いということになります。
 
III.成約物件だけでは見えてこないもの:吸収率

ただし、コロナ渦により、成約物件がキャンセルになる率も高く、またバイヤーが来られないといった理由により、取引が通常より長引くケースも見受けられます。
従って、現在の市場では、成約数だけでなく、月間の登記数も一緒に見ていくことが必要でしょう。いくら成約しても、クローズできなければ、仕方がありません。

ハワイの不動産取引では、成約してから登記(所有権移転、クローズ)まで、平均は45日です。
この間をエスクロー期間と呼びます。
コロナウィルスの影響で、4月はかなりの混乱があり、5月は月間登記数がかなり落ち込みました。
取引が長引いたものも多く、クローズできなかった取引が多かったのも事実です。実際私の取引でも長引いたものがありました。
7月には月間登記件数は戻してきてはいますが、昨年同月と比較すると16~24%のダウンとなっています。
戸建て月間取引数(実際に登記が完了して、取引が完了したもの、カッコ内は昨年比)
  戸建て コンド
5月 26 戸(-57%) 14戸(-67%)
6月 44戸(-18%) 26戸(-41%)
7月 41戸 (-16%) 29戸(-24%)
 
 
 
 
 
2020年7月末までのコナの戸建ての合計取引数は281戸(前年比マイナス16.6%)コンドミニアムは189戸(前年比マイナス33.92%)
「吸収率」とは、
毎月の「売れ行き」を使って、どれだけ市場の状態を把握する方法です。
2020年になってから戸建てはおよそ月に40戸クローズしています。コンドミニアムは27戸です。
今日現在の戸建ての売り物件数は122戸、コンドミニアムは160戸です。
吸収率は「月販売数 ÷ 在庫なので」:
戸建てが32.8% (1か月に売り物件のおよそ3割が売れている)
コンドミニアムの吸収率は16.9%ですとなります。
一般的には吸収率が
20%以上は「売手市場」
15%以下は「買手市場」
されています。
従って、コナの戸建て市場は強い売り手市場。コンドミニアムはニュートラルな市場状態です。
 
3月以降戸建てよりも、コンドミニアムの方が苦戦しています。これはレンタルのポテンシャルが現在見えないため、投資家による購入が滞っているためと思われます。また、テナントがいる場合には内覧ができなかったり、立ち退かせることもできません。
緊急事態宣言化においては、家賃の不払いによる立ち退きを強制できないのです。
 
IV. コハラコーストのリゾート市場
コンドミニムが多い、コハラコーストのリゾートでは売れ行きが落ちていましたが、ここにきて戻してきています。
4月から6月は、売り物件と成約物件の比率がほぼ10:1に悪化しましたが、マウナラニやマウナケアはおよそ3:1に戻ってきています
売り物件が少ないのはコナと同じ状況です。
リゾート 売り物件 成約物件 成約物件中値
ワイコロア 44戸 6戸 $620,000
マウナラニ 42戸 13戸 $899,000
マウナケア 8戸 3戸 $3,450,000
 
 
 
 
 
 
V. プライベートリゾート
「フアラライ」、「クキオ」、「コハナイキ」の3つのプライベートリゾートは、コロナ渦においても、非常に健闘しています。
3月以降の販売状況は以下の通りです。
フアラライ
戸建て3戸:平均$616万
コンドミニアム9戸:平均$247万
クキオ
戸建て9戸:平均$590万
コハナイキ
コンドミニアム2戸:平均$363万
 
IV. 今後に向けて
先がまだまだ見えない状況が続く中、いくつか明るい兆しは見えてきています。実際、米国本土の不動産市場もロックダウンの中、機能しており、中値は下がっていません。
  • 全米の中古戸建販売件数が6月になって+20.7%の過去最高の伸び。
    特に米国西海岸は31.9%、南部は26%の伸び。

  • 30年住宅ローン金利が過去最低の3%以下に。

  • 全米の住宅ローン申請数が昨年同時期より33%アップ。
失業率も一応下がってはいます。
ハワイ州は、コロナウィルス感染増加を受けて、11日から島間移動に規制をかけることを発表しました。
まだまだ先が読めませんが、現時点ではハワイ島の不動産市場も米国の不動産市場も動いています。2008年のリーマンの時とは全く様相が異なります。
また市場動向は随時ご報告します。