コナコーヒー。コーヒー好きにとっては、それは滑らかで、香り高く、世界的に知られた贅沢な一杯。
しかし、ハワイ島の日系ローカルにとっては、単なる高級ブランドではありません。
それは、日本からの移民1世、2世の皆さんが開墾し、築き上げた誇り高き「記憶」ともいえるでしょう。

今回、キャプテンクックのウチダ・リビング・ファームに行ってきました。


コナ歴史協会が運営するこの農園は、博物館というよりも、まるでタイムスリップしたような体験ができる「生きた歴史」の場でした。昭和に生まれた我々にとっては少々懐かしさも感じるような場所でもあります。

サトウキビ畑からコーヒー畑へ ―自由の選択

1800年代後半から1900年代初頭にかけて、数千人の日本人移民が労働契約のもとハワイに渡り、主にヒロ側のサトウキビ畑で働いていました。
ヒロでの契約期間が終わると、多くの日本人が、コナへと移り住みました。
険しい地形、火山の土壌、そして過酷な労働――それでも、コナにはサトウキビにはない魅力がありました。
それは「独立」という自由。

家族単位で数エーカーを借り、小さなコーヒー農園を始めたのが、コナコーヒーの今につながっています。
彼らこそが、ハワイにおける最初の日本人起業家といえるでしょう。

ウチダ農園 ― 100年の時を超えて語り続ける暮らし

ウチダ・コーヒー農園は、1910〜1940年代の日本人農家の暮らしを今に伝える、全米で唯一の「体感型コーヒー農園博物館」です。

伝統的な木製のコーヒー精製ミルや、天日乾燥用の干し棚(ほしだな)さらには手作りの人力式グラインダーまで、すべて当時のまま。
農具小屋や母屋を歩けば、まるで当時の息づかいが聞こえてくるようです。

友人でもある、ガイドのエツコさんが、当時の生活を生き生きと語り、かまどを使った日本の家庭料理の実演も見せてくれました。

ここで感じるのは、ウチダファミリーの創意工夫と勤勉さ。物々交換の貧しい時代、自分の手とアイディアだけが頼りの時代です。
厳しい暮らしの中で、彼らの手は止まることがなく、その努力が今のコナの礎を築いたのです。

二世たちが育てた「コナコーヒーのブランド」

一世が根を張り、二世・三世がその翼を広げました。
彼らは農業技術を改良し、コナコーヒーを世界へ広め、戦争や不況の時代にもその誇りを失いませんでした。並大抵の努力ではなかったはずです。

20世紀中頃には、コナコーヒーは「品質」で知られるようになります。
まさに、日本人移民の歩みそのもの。静かな強さと、たゆまぬ努力を体現していました。

コナコーヒー ― 謙虚な始まりをもつ世界ブランド

いまやコナコーヒーはステータスシンボルのような存在です。
世界中でその名前を見かけ、価格も高級品として扱われます。

けれど私が「コナコーヒー」と聞くたびに思い浮かべるのは、
日系ローカルの姿、そして静かな朝の光の中の静かな農園の風景です。

私自身は農家ではありませんが、コナコーヒーを飲むたびに、その背景にある努力に感謝の念が浮かびます。

訪れてみませんか

ウチダ・コナ・コーヒー・リビング・ヒストリー・ファームは一般公開されており、見学が可能です(最新の開館時間は公式サイトをご確認ください:konahistorical.org)。
歩きながら畑の香りを感じ、豆を手に取り、ストーリーを聞いてみてください。
次にコナコーヒーを味わうとき、きっとその一杯から「物語」を感じ取れるはずです。

コーヒー農園用の土地や邸宅にご興味がある方は、ご一報ください。

ちなみに、とてもおいしいオレンジも頂きました!