2025年も終盤に差し掛かり、コナやリゾートエリアを中心に、ハワイ島の不動産市場が再びリズムを取り戻しつつあるようにも見えます。2025年は金利が下がったとはいえ、思ったようには下がらず米国本土では、サンベルト地帯(フロリダ、テキサスなど南部地区)を中心に不動産が苦戦しています。

University of Michiganの「消費者センチメント指数(Consumer Sentiment Index)」が前月の53.6から50.3に低下。3年半ぶりレベルの低さです。この落ち込みの背景として、米連邦政府の長期的なシャットダウン(予算未成立による)に対する消費者の不安が影響しています。

また、現在の個人の財務状況評価が大きく低下、将来の景況感(経営環境・雇用)も減少しているようです。

つまり、全体としては「無駄な支出は控えよう」というモード。本土の一般消費層は特に慎重になっています。

ハワイ住民のマインドとしては、住宅・生活費・賃金という三位一体で負担を感じており、「物価だけ」というよりも「生活全体のコスト構造に対する懸念」が強いと言えます。高額物件マーケットにおいては、買い手(特に移住・セカンドホーム用途)にとって「暮らしやすさ」に加えて「ランニングコスト」、「維持コスト」が重要な検討要素となっています。

ここ、ハワイ島では今月、戸建て住宅からリゾート・コンドミニアムまで、1買い手の動きが少しずつ活発化しています。全米的には住宅ローン金利が緩和傾向にあることも、追い風となっているようです。また売り物件数の増加に歯止めがかかっており、供給が減ってきています。不動産は需給のバランスです。価格帯によっても需給バランスは大きく異なります。詳細はブログの最後に今月のデータのリンクからどうぞ。g

【コナ戸建て市場:堅調な足取り】

11月の成約物件数は55件(10月は46件)と回復の兆し。春から夏にかけてマーケットが落ち着いていた反動でしょうか。

  • 中間価格:$1,270,000(前年比+1.5%)

  • 成約までの販売日数(平均):30日

  • 月換算在庫:4.3ヶ月

在庫数は10月よりやや減少。ただし、前年同月と比べると依然として高めの水準です。買い手は戻ってきていますが、慎重に検討している様子。

ピークは過ぎたものの、市場は決して冷え込んでいません。特に高価格帯では安定した需要が継続。12月の動き次第では、2026年も価格が堅調に推移する可能性が高いです。

【コナ・コンド市場:再び活気】

久々に明るい兆しを見せたのがコンド市場。昨年夏からの保険危機で、コンド市場の冷え込みが見られましたが、今年は在庫が減少傾向で、市場はニュートラルな状態。

  • 成約物件数:37件(10月は28件)

  • 中間価格:$620,000(前年比–4.6%)

  • 在庫:142戸

  • 成約までの販売日数:54日

  • 月換算在庫:5.6ヶ月

前年比で価格はやや下がっているものの、成約件数の増加と在庫の引き締まりはポジティブな傾向です。バイヤーにとっては、交渉の余地がある「中立的」な市場であり、昨年の冷え込みからが一段落した印象です。

【リゾート・コンド市場:高価格帯が好調】

リゾートエリアでは、在庫が夏のピーク(7月の101戸)から減少し、11月時点ではわずか67戸。これは年初を下回る水準です。

注目ポイント:

  • マウナラニ:コハラコーストのリゾートの中で最も活発で、売り物件と成約物件の比率がほぼ1:1。価格戦略の見直しが奏功している様子。

  • ワイコロアリゾート:売りが多く成約が少ない「12:1」の在庫比率。価格の見直しが必要ですが、強気な売主が多い印象。

  • プライベートクラブ系

    • フアラライ:再びビラは在庫ゼロ。最新の640万ドルのビラも1日で成約となりました。

    • クキオ:現在売り物件2戸。$1,800万の物件が今月成約

    • コハナイキ:50%の建設が完了し、次のフェーズへ。最新のAlaniシリーズ(約$500万)は市場に出る前に売れています。$2,600万の超高額物件が今月成約。

依然として高額帯では、ライフタイルに価値を見出すバイヤーが積極的に動いています。

【全米の動き:Compassエコノミストの見解】

Compassのチーフエコノミスト、マイク・サイモンセンによると:

  • 10月末時点で住宅ローン金利が過去1年で最も低下し、これがQ4の買い手活動を後押しする可能性あり

  • 株価が9月高値圏を維持しており、買い手の資産感も上向き

全米中間価格(前年比):

  • 一戸建て:+2.3%

  • コンド/Co-op:–0.6%

  • 在庫:2019年以来の高水準(ただし、増加の勢いは鈍化)

住宅市場は全体的に底堅く推移する一方、コンド市場はやや弱含みというのが現状。

【年末に向けての動き】

ハワイ島の不動産市場は、均衡へとシフトしています。急成長でも暴落でもなく、戦略とタイミングがより重要な「読み合いの市場」です。バイヤー視点では、コンドやリゾート物件で選択肢が広がり、交渉の余地がある今は好機。

売主視点からは、価格と、「物件の持つストーリー」のバランスが成功の鍵です。


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