毎年、大手の塗料メーカーが発表する「今年の色」。これは、経済状況、社会ムード、そして変化する消費者のトレンドといった世相を捉えています。世情が不安定な時期は、人々は安心感や親しみのある色合いに惹かれる一方で、景気が良いときには、大胆で冒険的な色が好まれる傾向があります。
今年の大手塗料メーカーの2025年のトレンドカラーを分析してみると。。。「温かみ」「深み」、そして「クワイエット(控えめな)ラグジュアリー」が垣間見えます。

米国大手塗料メーカーの2025年カラー、写真左から順に

これらの色の共通点は、「温もり」「落ち着き」「自然なエレガント」を感じさせること。暗さを感じるというよりは、コロナも終わり、一息ついてリラックスしている印象です。さらに、今の時代のラグジュアリー不動産市場の感覚に合致しているように思えます。
ベア社が1,000人の米国成人を対象に行った調査では、今年の同社の色(ルーマー)を表す表現としては、「豪華(51%)」「ラグジュアリー(57%)」「値段が高そう(47%)」が最も多かったそうです。落ち着いた色が高級感を連想させるのは興味深いです世相です。


インテリアデザインにおける「クワイエット(控えめなラグジュアリー)」の台頭

「控えめなラグジュアリー(Quiet Luxury)」とは、言ってみればみれば、時代を超えた優雅さなのかもしれません。派手な成金的な表現ではなく、洗練された自然体であり、長く愛されるデザイン・空間を表すスタイルなのです。

高級建築、不動産、インテリアで好まれるトレンドは:

  • 柔らかなニュートラルなカラー – 上のトレンドカラーような色は、静かで落ち着いた空間を作り出し、買い手を惹きつけます。
  • 自然素材 – 石、古材、リネン、レザーなど、時を重ねるほど美しさが増し、職人の技を感じさせる素材が人気
  • 控えめな素材感 – 漆喰の壁、天然木製パネル、カシミアのブランケットなど、温かみのある触感を重視。
  • 落ち着いた金属感 – 派手な光沢仕上げではなく、エイジド・ブラスやウォームブロンズが採用され、深みを与えながらも過剰にならない印象に。

完璧にデザインされた、ラグジュアリーホテルに足を踏み入れたときの、自然体でいて非の打ち所がない雰囲気、という感じなのでしょうか。最近で言えばアマン/リゾートが良い例だと思います。

不動産の本質は「感情」にあります。いかに買い手に心地よく響くか。であるからこそ、売り主や不動産エージェントが、ラグジュアリーの本質を理解することは、非常に重要です。