重要ポイント
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オアフ島で報じられた権利証偽造事件は、ハワイ州の登記制度における構造的な脆弱性を浮き彫りにしました。
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Hawai‘i Bureau of Conveyancesでは年間約34万4千件の書類が記録されていますが、法的有効性の審査までは行いません。
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詐欺の標的になりやすいのは、特に管理が行き届いていない分譲地外の空き地です。
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厳格な管理体制を持つプライベートリゾートコミュニティは、一般的に標的になりにくい傾向があります。
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「Property Watch」は、不審な登記を早期に検知できる無料サービスです。
オアフ島で何が起きたのか?
最近、オアフ島で複数の不動産に関わる権利証偽造の疑いによる刑事事件が報道されました。
報道によると、偽造された署名を用いて不正な登記を行い、正当な所有権がないまま転売を試みたとされています。
標的となったのは、主に空き家や管理の行き届いていない物件でした。
これは「偽造」および「なりすまし(アイデンティティ盗用)」を含む深刻な事案です。
20年以上にわたりコナおよびハワイ島全域で不動産に携わっていますが、正しい理解と予防意識のために共有すべき内容だと感じています。
まずは仕組みを知ることが第一歩です。
ハワイ州の登記制度の仕組み
ハワイ州の不動産登記は、州のHawai‘i Bureau of Conveyances(不動産登記局)が管理しています。
同局は年間約344,000件の書類を登記しています。
その役割は行政的・手続き的な確認であり、法的な正当性を問うものではありません。
確認する事項
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適切な署名があるか
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公証が適正に行われているか
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書式が正しいか
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法令上の形式要件を満たしているか
要件を満たさない場合は受理されません。
しかし、以下は行いません:
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署名が偽造かどうかの捜査
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公証以上の本人確認
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権利調査(タイトル調査)
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実際に所有権が正当に移転したかの確認
つまり、登記が記録された=取引が正当であることを保証するものではないということです。
どのような物件が標的になりやすいか?
これまでの事例から見える傾向は以下です。
標的になりやすい物件
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空き地
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未開発地
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日常的に管理されていない区画
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本土や海外在住の不在オーナー所有物件
特に、管理組合(HOA)がない分譲地外の空き地は狙われやすい傾向があります。

理由は明確です:
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異変に気づく居住者がいない
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HOAや管理会社の監視がない
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買主に売りやすい
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近隣からの注意が入りにくい
リゾートコミュニティの場合
クキオやフアラライのような厳格なアクセス管理があるプライベートリゾートは標的にはなりにくく、問題が生じにくいでしょう。
一方で、同様の監視体制がない通常のリゾートエリアの空き区画には、リスクが存在する可能性があります。
ハワイ島で特に意識すべき理由
ハワイ島でも不動産詐欺の話は多く聞きます。実際に私も「なりすましの売主」に騙されそうになった経験があります。ハワイ島に関わらずハワイが標的になりやすいのは:
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セカンドホーム所有率が高い
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本土・海外オーナーが多い
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信託名義の所有が多い
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大規模農地や未開発地が多い
という特徴があります。
長期間空き地のままの場合、不正登記が発生しても発見が遅れる可能性があります。
さらに、地理的に離れた場所からのリモートでの本人確認は、どうしても複雑さを伴います。実際に私が経験した詐欺のケースも、メリーランド州のオーナーであり、電話、メール、テキスト、全てつながっており、なかなか厄介でした。最終的にはエスクロー会社、メリーランドの警察などが関与して大事には至りませんでしたが、嫌な経験でした。
Property Watch とは?
Hawai‘i Bureau of Conveyances(ハワイ州不動産登記局)では「Property Watch」という無料のEメール通知サービスを提供しています。
登録すると、自分の名義で登記が記録された際に通知が届きます。

プロパティ・ウォッチの重要なポイント
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登記を防止するものではありません
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事前審査は行いません
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記録後に通知が届きます
しかし、早期発見は、詐欺防止に効果がある可能性があります。
早速私も登録しました。
ハワイに不動産をお持ちの方は、シンプルかつ責任ある対策として、登録を強くおすすめします。
空き地オーナーができる対策
特に管理のない地域に空き地を所有されている場合:
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Property Watch に登録する
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郡の固定資産税記録を定期確認
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郡に登録している郵送先住所を最新に保つ
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突然の購入オファーは慎重に対処
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信頼できる不動産ブローカー、タイトル会社、エスクロー会社のみと取引する
不動産取引は、急がされたり秘密裏に進むべきものではありません。
違和感があれば、一旦立ち止まることが重要です。
ハワイでは「信頼」が文化の基盤ですが、信頼は確認によって守られます。おかしいな、と思ったら確認を怠らないようにしましょう。
ご質問やご相談があれば、いつでもご連絡ください。
井尾 大介、コンパス
コナを拠点に、セカンドホーム・リゾート・超富裕層向け不動産を専門とするラグジュアリー不動産アドバイザー
