なんでも売れた超売り手市場が終わり、今は良い物件が適正価格の上限で売れる時代に入っています。市場に出したものの、売れない物件も増えてきました。
「高めに価格を設定することで、交渉の余地ができ、最終的に高く売れるのでないか」と思われがちですが、データは逆の結果を示しています。
2024年のコナの全取引を分析してみました。
価格を高く設定しすぎた物件、いわゆる「オーバープライス物件」は、売却までに時間がかかるだけでなく、最終的に売却価格も低くなる 傾向があることがわかりました。
真のバイヤー、つまり、購入意欲の高い、準備ができている層は、相場をよく理解していることから、オーバープライス物件を避ける傾向にあります。
この層のバイヤーは、売り出し開始直後は、売主が交渉に応じないことをよく理解しています。従って、適正価格から10%以上離れている場合には、内見リストから外したり、オファーを入れないことが多いのです。
さらに、市場に出てからの日数が増えるほど、売れ残り感が強くなり、「何か問題があるに違いない」という風に見られがちです。
現実
2024年のコナの住宅データを分析してみました。
2024年のコナの市場データ
・中間市場滞在日数(DOM):22日
・平均市場滞在日数(DOM):56日
45日以内に売れた物件 → ほぼ値引きなしで売却
・中間割引率:0.00%
・平均割引率:0.99%
売却に45日以上要した物件 → 大幅な値下げが発生
・中間割引率:8.22%
・平均割引率:8.57%
45日以降、売却までの期間が1日増えるごとに、価格は0.078%ずつ下がる傾向がああります。
例えば、100日間売れ残った場合、価格調整率は約7.8%になります。
「試しに高めに設定してみよう」という売り手にとって、これは大きな損失につながる可能性があります。
高く設定すれば高く売れるわけではなく、結果的に大幅な値下げにつながる のが現実であり、さらに時間もかかります。
タイムイズマネー。時間がかかればそれだけ維持費もかかります。適正価格の幅を知り、その上限でプライシングしていく必要があり、45日を目途に物件は売っていく必要があります。
結論:適正な価格設定で、より迅速な売却を
重要なのは、「楽観的な価格設定」 ではなく、「戦略的な価格設定」 です。
米国では、住宅不動産の価格付けにもっとも重要なのは「腕前」だとよく言われます。商業不動産のように数値化しづらい、感情などの側面を考慮しなければならないからです。
マクロ、ミクロのデータ分析は勿論、地域性、過去の経験、バイヤーのプロフィールなどに応じた価格付けと、戦略性が必要となります。