一般的にアボカドと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、スーパーに積み上げられた見慣れたハースでしょう。悪くはありませんが、なぜハースばかりスーパーで売っているのか気になりませんか?

ハースは実は木で熟さない種であり、そのため流通にうってつけなのです。早めに収穫され、店頭に並ぶ前にコントロール熟成されているのです。

ここ、ハワイではまったく異なったアボカドが楽しめます。200種類以上のアボカドが存在し、それぞれに個性、味わい、そして旬があります。多くのアボカドが秋から春にかけて旬。アボカド シーズンが始まるたびに変わったアボカドを見つけては、ハワイを新たに発見するような気持ちになるのです。

ハワイ産アボカドの多様性

多くのアボカドを目にしますが、特におすすめの品種をいくつかご紹介しましょう。ぜひ名前を覚えて、スーパーやファーマーズマーケットで見かけたら、買ってみてください。

  • シャーウィル(11月〜5月) 緑の皮、クリーミーで高い油分(28%)、ナッツのような風味。ハワイの主要な商業品種で、本土への輸出が認められている唯一のアボカド。個人的にはこれがベストです。

  • リンダ(2月〜6月) 緑の皮、クリーミーで高い油分、豊かなナッツ風味。品質の高さで知られる品種。

  • カハルウ(10月〜12月) 大玉で皮が薄く、バターのようにとろける食感。最高級の食味とされる。大きすぎるのがたまに傷。また熟れ頃を見極めるのが結構難しい!

  • マラマ(9月〜11月) 紫色の皮を持ち、優れた味わい。秋の人気品種。まさにファーマーズマーケットに出てきました。

  • ヤマガタ(3月〜7月) 長い収穫期と大きなサイズで知られる。こちらも熟れ時の判断が結構難しい。

味わいはナッツのように濃厚なものから、バターのように柔らかなものまでさまざまです。熟すと黒く変わるものもあれば、緑のままのものもあります。皮がやわらかく手でむけるものもあれば、厚くしっかりしたものも。冬のアボカドは皮が厚く油分も多い傾向があります。

「生きた遺伝子プール」

ハワイの驚くべきアボカドの多様性は偶然ではありません。その昔は船長、旅行者、貿易商人たちが、中南米、メキシコ、スペイン、ポルトガルなどから種を持ち込みました。世代を重ねるうちに自然交配が進み、新しい種が生まれたのです。

さらに、日差しの強い海岸線から涼しい高地まで広がるハワイの多様な気候条件が加わり、「生きた遺伝子プール」となりました。ハワイのトロピカルフルーツの第一人者であるKen Love氏が、アボカドを「世界的な宝物」と呼んだのです。コロナ以前には、ファーマーズマーケットで彼が知識を惜しみなく共有する姿をよく見かけました。彼の有名な「アボカドポスター」が我が家に飾ってあったことがあります。

Ken Love氏のアボカドへの情熱は、下記の動画からも感じていただけると思います。


食べ頃

ハワイ産アボカドを楽しむ上で最も難しいのは、食べ頃を見極めることです。ハス種は木の上では熟さず、収穫後に追熟させますが、ハワイの品種は品種ごとに熟し方が異なります。柔らかくクリーミーになるものもあれば、しっかりとした食感を保つものもあります。

私の目安は、ヘタ(茎のキャップ)が自然に取れ、果実が軽く押して柔らかければ、ほぼ完璧な食べ頃です。早く収穫すると水っぽくなったりゴムのようになったりしますし、遅すぎると茶色く繊維質になってしまうものもあります。

個人的には、完熟したシャーウィルに勝るものはありません。濃厚でナッツのような風味、そしてなめらかさ。絶品です。

おすすめアボカド料理

ハワイで暮らす中で、アボカドはライフスタイルの一部です。お気に入りをいくつかご紹介します。

  • アヒ(マグロ)とアボカド寿司 :ロールでもちらしでも、バターのようなアボカドは生のマグロと抜群に合います。軽く漬けたキハダマグロとアボカドの組み合わせは最高。ハワイに移住するまで試したことがなかった「ウナギとアボカド」も絶品です。寿司にアボカドは欠かせません。

  • アボカドトースト 我が家の朝食の定番。マリネしたニンジンやセロリ、シーソルト、レモン、オリーブオイル、スパイスを加えると魔法のような一品になります。

  • 照り焼きチキンのアボカドソース添え 私流のタルタルソース。クリーミーで酸味があり、なかなかいけます。チキン南蛮ハワイ風です。

アボカドは美味しいだけでなく栄養価も高い食材です。心臓に優しい脂肪分、食物繊維、そして20種類近いビタミンやミネラルを含むスーパーフード。特にハワイの品種は油分が多く、味わいも栄養価も優れています。

秋から初夏にかけてはローカルアボカドを是非楽しみましょう。ハースはほとんどローカルではありませんので、ご注意を。
旅行中の場合には、ファーマーズマーケットで、食べごろのものを選んでもらうのがベストです。結構外れることもありますが。。。それもアボカドの楽しみの一つです。