毎年10月、普段静かな(静かすぎる?)コナが、世界の耐久スポーツの中心地へと変貌します。今年は10月11日(土)に、世界最高峰のトライアスロン大会「アイアンマン・ワールドチャンピオンシップ」が再び開催され、世界中から約3,000人のトップ女性アスリートがコナに集結します。
3.8キロの海でのスイム、180キロに及ぶハヴィまでのバイク、そして締めくくりはアリイ・ドライブをゴールとするフルマラソン。トライアスリートにとってコナはまさに頂点。そして、私たちローカルにとっても、伝統であり、誇りであり、この島のライフスタイルを象徴するイベントです。全米中継もありますし!
溶岩台地から生まれたレガシー
アイアンマンは1978年にオアフ島で始まりましたが、1981年からはコナに舞台が移りました。ハワイ島に一度でも来たことがあればわかりますが、コハラコーストの溶岩、風、灼熱の太陽が、世界で最も過酷なコースを作り出しているのです。ハワイ島で完走することは、耐久スポーツ界における最高の名誉のひとつです。
キングカメハメハ・ホテル前のアリイ・ドライブのゴールラインは、毎年数々のドラマが生まれます。驚異的なタイム、涙のゴール、家族と喜びあう姿。トップ選手のゴールが14時頃。そして、暗くなってからも続くゴールシーンは感動的です。ゴールと同時に流れる「YOU ARE AN IRONMAN!」というアナウンス。このためだけに選手達は頑張るのです。最後300m。観客の声援、音楽、そして疲れ切った選手たちの最後の力走。深夜まで続くこの応援は、ただのレースではなく、人間の可能性を間近に感じる、かけがえのない時間です。できれば、最後の300mだけ体験してみたいと思うのは私だけでないはず。
2025年大会:女性たちが主役
2023年から採用されている「男女別開催フォーマット」により、今年は女性の世界選手権がコナで開催され、男性は一ヶ月前にフランスのニースで開催されます。男女は別ですが、世界のトップ女性トライアスリートたちが、あの溶岩台地を圧倒する姿には、心を打たれるものがあります。
我が家では、アイアンマンは家族の恒例行事。毎年5時半に起きて、6時半のスタートを見に行きます。ヘリコプターが飛び、カイルア湾の防波堤は人でいっぱい。普段は静かなコナが、この週だけは世界とつながるような、特別なエネルギーに包まれます。朝食をとり、自転車へのトランジションを観戦し、ランチは家でお休み。その後優勝者のゴールの時間頃から夜までディナーを挟んでブラブラと観戦するのがるティーンです。
娘は最近はボランティアとして参加し、選手や観客をサポートし、イベントとの一体感を楽しんでいます。
そして2026年:再び男女が同日開催へ
いよいよ2026年、アイアンマンは元の形に戻ります。2026年10月10日(土)、コナにて男女同日の開催が復活します。コロナの中断を受けて、フォーマットが変更になりましたが、昔を知っている者としては、やはり男女同日開催の方が盛り上がるのは間違いありません。選手たちもフランスよりもコナで戦いたいという思いがあるようです(マハロ)。
伝統を守りつつ、街を封鎖する負担も軽減され、何より「ひとつになる」感覚が戻ってくるでしょう。なんといっても、コナこそが唯一無二のアイアンマンの聖地なのですから。
また、アイアンマンの経済効果は有難いと言わざるを得ません。ホテル、レストラン、店が賑わい、訪れた人々に島の魅力を深く印象づけます。もちろん、交通規制や混雑、宿泊費の高騰といった課題もありますが、それでもこのイベントがもたらす影響は計り知れません。
では、10月11日にコナの海辺でお会いしましょう。